前回まで11月下旬から12月頭にかけて石巻市教育委員会と各小中学校と交渉した結果、12月12日(月)に直接手渡しできる学校と、届けるのみの学校、教育委員会へ託す学校への搬入が決まった訳ですが、ここからは12月11日(日)前日の準備と12日(月)にチームに別れて石巻市内の小学校へ届けに行った様子をレポートしていきます。
実は袋詰めが完了し学校毎にダンボール詰めした笑顔袋約1,000個は11月上旬までハマキョウレックスさんの有明の倉庫に保管して頂いたいたのですが、これ以上、ハマキョウレックスさんで保管頂くのはスペース的にも期間的にも限界ということもあり、第一弾の笑顔袋にも精力的にご協力頂いた宮城県塩竃市の三恵商事の坂井さんにお願いし、笑顔袋を配布するまでの間、三恵商事の倉庫に保管してもらえることになりました。約1ヵ月間の間、無償で保管場所を提供頂いた坂井さん、三恵商事の社長の坂井さんのお父さまには心より感謝致します。
配布前日の12月11日にアルミバン2台で東京を出発した足で、そのまま塩釜市の倉庫へ一度、笑顔袋の入ったダンボールを全て引き取りに行きました。これは実際の各学校への配布個数に変動があったのでダンボール内の笑顔袋の個数調整と、翌日12日に届けるチーム毎と学校の順番によって積む順番を変えなければならないためです。
その後、阿部の実家の名取に全ての荷物を移動し、最終的な配布リストを見ながらダンボール内の笑顔袋の個数を調整し、翌日配布するチーム毎のトラックに積み直しました。
結果的にそれらの作業が完了し、翌日の作戦会議が終わった頃には2時近くになっていました。翌日の出発は8時でしたが、こども達の笑顔を見られることを願いつつの最後の一頑張りでした。
翌日、7時前に起床し石巻市へ2台のトラックと乗用車2台で石巻へ向かいました。今回、一緒に届けに行ったメンバーはマザーハウスの山口さん、山崎さん、工藤さん、稲葉さん、僕の仙台の友人で同業を営む佐藤さん、赤澤さん(石巻で合流)、ワンパクから原、桑原、阿部の全9名で下記の2チームを結成しました。
Aチーム
山口さん、工藤さん、佐藤さん、赤澤さん、阿部
Bチーム
山崎さん、稲葉さん、原、桑原
まずはAチームの報告から。
▼湊第二小学校
Aチームが直接届けることができた学校の1カ所目は石巻市立湊第二小学校です。この小学校は元々は石巻市内の旧北上川の東に校舎があったのですが、今回の地震と津波の被害により10月より開北小学校の校庭に仮説の校舎を建ててそこで勉強しています。
僕達が学校へ着くと、外で小さいこども達が体育の授業で体操をしていました。まずは教頭先生にご挨拶し、こども達を横目に湊第二小学校分の荷物を下ろすと、校長室に招かれ震災後のこども達の様子や現在の状況など色々とお話を伺うことができました。
その後、準備ができたということで教室に入ると、そこには先程、外で体育の授業をやっていたこども達が元気な顔で迎えてくれました。こども達にも分かりやすいようにプロジェクトの説明をしたあと、いよいよ笑顔袋を一人一人に渡していく時間です。
こども達が先生に言われて順番に並びます。どうやら袋に何が入っているのかかなり気になるようです。もらった瞬間に中身を確認するのではなく、もらった後にみんなで一斉に中身を見ようと伝えました。
袋を受け取るこども達はみんな笑顔になり、元気な声で「ありがとう!」と言ってくれました。
そして全員に配り終わったあとみんなで声を合わせて「一斉のせ!」で袋を覗きました。その瞬間にみんな「わぁ!!」っと声を上げ、さっきよりもどんどん笑顔になり、笑い声に教室が包まれていきます。第一弾(5月)の時もそうでしたが、この笑顔を見られた瞬間、8月から準備を進めてきたそれなりに大変な思いが一瞬にして「やっぱりやって良かった!」に変わりました。
最後に全員と記念撮影をして、また遊びに来る約束をして後ろ髪を引かれつつ、湊第二小学校を後にしました。
▼住吉小学校
次に直接渡すことができたのは、当初届けるのみの予定だった住吉小学校です。教頭先生にご挨拶し、笑顔袋を保管する教室に搬入したところで、「どうせなら今から配ったらどうですか?」といいう粋な計らいで急遽手渡し出来ることに。
保管場所の教室で待っていると、先程の湊第二小学校の数倍の生徒が登場。若干これから何が始まるんだという空気に包まれつつも、プロジェクトの説明をしつつサンタがやってきた的な流れになり、こども達が少しずつドキドキ・ワクワクし始めました。
その後、ここでもみんなで一斉に見るから、配ってもすぐに見ないようと約束し、一人一人に笑顔袋を手渡しました。
そして「一斉のせ!」で笑顔袋を覗きます。先程と同様にみんなが一斉に声を上げて、更に笑顔になり笑い声と興奮に包まれます。
みんなからお礼の「ありがとうございました!」という元気な言葉をもらって、ここでもみんなで笑顔で記念撮影。スタッフ一同で「やっぱり直接届けられた方がイイね!」と話しつつ次の学校である門脇小学校へと向かいました。
▼門脇小学校
つづいて届けに行ったのは門脇小学校の一年生です。門脇小学校は日和山の麓にあり、津波の後に火災で焼けた小学校です。現在は門脇中学校の三階を間借りして授業を行っています。
門脇小学校も教頭先生と校長先生にご挨拶させて頂いた後に、一年生の準備ができるまで職員室で待機していました。職員室内にある横にあるテーブルで先生達と会話を交わしますが、やっぱり職員室ってなんだか落ち着かないんですよね(笑)。そんなこんなで待っていると準備ができたということで教室に入りまずはご挨拶。
ここでもなぜかプロジェクトの説明をしつつサンタ文脈で話が展開することに。まあその方が分かりやすくていいんです。
他の学校同様に「みんなに配り終わるまでみちゃだめだよ!」とお願いしつつ、一人一人と言葉を交わしながら手渡ししていきました。最初は不安な表情をするこども達も声を掛けながら配ると、徐々に笑顔になっていきます。
見たい気持ちを抑えつつ、精一杯我慢している児童もいました(笑)。
そして、本日お馴染みの「一斉のせ!」のかけ声。ここでもこども達から多くの歓声が上がり笑顔が溢れました。
ちなみに第一弾、第二弾共に小学校一年生向けには必ずポ○モンのぬいぐるみかプラモデルがを入れているのですが、どこにいっても「ポ○モンだ!」という声が上がり、コンテンツの強さを実感しました(笑)。
大きな声で「ありがとうございました!」の言葉をもらった後に、ここでもみんなで笑顔で記念撮影。
ここまででAチームが直接渡す担当分の小学校全ての配布が完了しました。行った先全ての学校でみんなのワクワク・ドキドキが伝わってきたし、素敵な笑顔になってくれて本当に良かった!
▼門脇中学校
そしていよいよ最後に今回、僕が一番不安を感じていた唯一の中学校、門脇中学校への笑顔袋の配布です。
中学生向けの笑顔袋は学用品やスケッチブックなどの実用的なものをメインに男子はトランプやミニボードゲームなどのちょっとしたゲーム、女子は靴下や髪飾りなどを入れました。でも正直、中学校一年生って微妙な年頃だし、はたして喜んでくれるのかな〜と思いつつ届けに行きました。
しかも教頭先生に挨拶するといきなり校長室に通され、そこで「武道場で準備をしていますのでしばらくお持ち下さい」と言われ校長先生の話を聞きながら待つことに。
そこでは震災直後から門脇中学校が避難所として使われ、学校としての機能を失いつつも、先生方と生徒がどのように考えここまできたのかを伺うことができ、胸が詰まる思いでした。
しばらくすると「準備ができました」と数名の生徒が校長室まで迎えに来ました。何となく「えっ?、なんだか大げさではないかい?」と思いつつ、代表の生徒と校長先生と武道場に向かいました。
先に笑顔袋のダンボールを搬入していたものの、武道場に入って驚きました。なんと全員が規則正しく整列しているではありませんか!
「いったい何が始まるんだろう!?」
予測不可能な状況に若干戸惑いつつも、みんなが整列している横の椅子に山口さんとスタッフと着席して下さいと言われ座りました。
前にいる司会らしきの生徒が「はじめの言葉、○○さんお願いします」と口火を切りました。○○さんが前に出てはじめの言葉を宣言します。「これから笑顔袋贈呈式を始めます」
「えっ!?笑顔袋贈呈式!」と思わず吹き出してしまいました。まさかそんな大それたイベントごとが開催されるとは!!しかも若干昔ヤンチャだった僕はこういった催し事が大の苦手…。でももう大人だし、ここはきちんと対応しないとと思い直し、背筋を伸ばしました。
まずは校長先生の言葉がありました。その中で「石巻が復興するまでは少なくとも10年から20年はかかります。君たちが10年後は何歳ですか?未来を担うのはここにいる皆さんなんです。」という言葉と「全国から沢山の支援を受けています。それを当たり前とは思わずに、常に感謝の気持ちを忘れずに、もし今の自分達と同じ境遇の人々がいたのならば、今度はあなたたちが助ける番です」という言葉が心に強く残りました。
その後、僕の挨拶の時間を頂きましたが、さすがに中学生なのできちんとプロジェクトの説明をしました。その流れで今回の笑顔袋のデザインと製造を手がけてくれたマザーハウスの山口さんに話を振りました。
山口さんはバングラディシュの人たちと今回のバッグをつくったこと、自分が学生の時にバングラディッシュが大洪水にあい約6,000名が被害に遭ったこと。バングラディッシュは世界の中でも貧しい国だけど、自分達は現地の人たちと共にあきらめずに頑張ってそこで今年50名の職人さんたちと工場を立ち上げたこと、だからみんなも頑張れば明るい未来になるはずだということを涙ながらに語ってくれました。もう中学生達も僕も涙を流さずにはいられない感じでした。
二人の挨拶が終わると、司会の生徒が「笑顔袋贈呈」の言葉。代表の生徒二名に山口さんと阿部から笑顔袋を手渡しました。
元々はそれで終わりのはずでしたが、「全員に配らなくていいんですかね?」と聞いたところ「配ってしまいましょう」という先生方の計らいでここでも一人一人に手渡しで配ることができました。
配りながらも「喜んでくれるかな〜」とい不安があったのですが、結果的にはそれは杞憂に終わり、袋の中身を見た生徒達はみんな笑顔になってくれました。
最後に代表の生徒からお礼の言葉を頂きました。皆さんの印象としてはさすが中学生なだけにで規律が守られていて並ぶのもぴしっとしている。でも笑顔袋を覗きながらワイワイする姿にはあどけなさも残っているなと。
というわけで長文になりうましたが、ここまでが無事にAチームが直接手渡しできた学校の全てのレポートになります。
結論を言うと笑顔を届けようと思って行ったはずの僕達が、逆にこども達の笑顔でパワーをもらってきた感じでした。
次回はBチームが直接配布できた学校の様子をレポートします。
※全ての写真の掲載は許可を頂いた上で行っています。
negau.orgプロジェクト代表 阿部淳也(1PAC. INC.)
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